Diamond Visionary logo

5/9()

2025

    脱・日立で新機軸を確立。南北アメリカ大陸で縦横無尽に商圏拡大

    脱・日立で新機軸を確立。南北アメリカ大陸で縦横無尽に商圏拡大

    建設機械とマイニング(採掘・採鉱)用の機械を2本柱とする、建設機械メーカーの「日立建機」は、グローバル企業として確固たる地位を築いた1兆円企業だ。建設や採掘という特殊な作業現場に求められる「安全性」や「自動化」を追求したシステム開発を武器に、大きな成長を遂げてきた。平野耕太郎執行役会長兼CEOにお話を伺った。

    ――日立建機の成長が止まりませんね。

    平野 弊社の世界シェアは、建設機械で約40%、マイニング機械では約30%を占めて います。また、グループ80社のうち73社まで海外にあり、全社員の約6割が日本人以 外の方となっています。売り上げも75%が海外で、グローバル展開を続けている企業 です。世界のお客様に価値あるソリューションを提供し続けています。

    ――建設機械が使われる現場は、高温や高負荷の環境など特殊事情が多くあります。また、建設機械自体が巨大で運搬も容易ではありません。いろんな課題がある中、先駆的な開発を続けてきました。

    平野 建設機械の遠隔監視と故障予知のテクノロジーを極める必要がありました。各メーカーはICT(情報通信技術)を駆使してしのぎを削ってきましたが、弊社は2013(平成25)年から、「Consite(コンサイト)」というサービスを立ち上げました。これは、簡単にいえば、遠隔監視で建設機械を常に見守り、お客様にデータレポートを配信するサービスソリューションです。サービスを提供しているのは、世界113カ国・地域に及び、お客様に対して33言語で対応しております。弊社の長年にわたるグローバル展開の経験が生かされています。

    ――建設機械とともに製品の柱となるのはマイニング機械です。主に海外の大規模鉱山で使われているため、日本ではなじみ薄い部分ですが、どのようなものでしょうか。

    平野 このマイニング分野は、我が社の未来の鍵を握っています。資源鉱物需要は拡大の一途をたどっており、新興国の経済発展以外にもレアメタルの重要性が増大するなど、マイニングの隆盛が常態化すると考えられるからです。マイニング用機械の代表的なものは超大型油圧ショベルとダンプトラックですが、それぞれ世界シェア40%、16%を目標にしています。この分野でも技術革新が進んでいますが、ダンプトラックの版の自動運転車については、最終的な実証実験の段階に入っています。これは、日立各社が長年培ってきた鉄道運行管理システムなど「日立の力の結集」です。マイニングの現場は本質的に危険な場所であり、無人化は事故の軽減や人手不足の解消にもつながり、大きなインパクトを与えるでしょう。

    ――アメリカの独自展開が今後の大きな注目となります。

    平野 以前に協力関係だったアメリカのディア社との業務提携を解除、独自での事業展開を進めています。2022年から日立ブランドの機械をアメリカ、カナダで販売を開始しました。サービスソリューションのConsiteはアメリカ大陸でも展開が可能になったことで、さらに世界の方々に価値のあるサービスをお届けしていきたいと考えています。

    ――――――――――

    平野 耕太郎(ヒラノ コウタロウ)
    1958年6月4日生まれ、東京都出身。中央大学法学部を卒業後、81年に日立建機入社。17年に取締役代表執行役社長、23年から現職。

    Diamond AI trial

    ピックアップ

    Diamond AI