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吉田和行 2025/04/24
5/9(金)
2025年
ビジョナリー編集部 2024/09/04
メラビアンの法則は、コミュニケーションにおける言語・聴覚・視覚の影響の割合を明らかにした心理学上の法則です。1971年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学者アルバート・メラビアンによって提唱されました。この法則は、しばしば「人は見た目が9割」といった形で誤解されることがありますが、正確には「矛盾したメッセージが発信された場合に、どの情報が優先されるか」を示したものです。
メラビアンの法則は「3Vの法則」とも呼ばれ、言語情報(Verbal)、聴覚情報(Vocal)、視覚情報(Visual)の3つの要素から成り立っています。これらの要素が矛盾した場合、各要素がどの程度影響を与えるかを示しています。
情報の優先度は以下の通りです
相手の態度や表情、目線やしぐさといった、見た目から受け取れる情報を指します。視覚情報はコミュニケーションにおいて最も大きな割合を占め、全体の55%を占めるとされています。これは、ボディランゲージとも呼ばれる「非言語コミュニケーション」に該当し、言語化が難しい感情や想いを伝える重要な手段です
相手の声の大きさやトーン、話す速さや話し方を指し、コミュニケーションにおける割合は38%とされています。聴覚情報も視覚情報と同様に「非言語コミュニケーション」に含まれます。視覚情報と合わせると、非言語コミュニケーションが全体の93%を占めることになります。
相手の話している内容や言葉そのものの意味を指し、コミュニケーションにおける割合は7%とされています。言語情報によるコミュニケーションは「言語コミュニケーション」または「バーバルコミュニケーション」と呼ばれ、メールや手紙などの書き言葉もこれに含まれます。
メラビアンの実験では、3つのVをあえて矛盾させ、相手にどう伝わるかを検証しました。以下に具体例を紹介します。
この場合、視覚情報が55%を占めるため、「怒っていない」という印象が強くなります。
この場合、視覚情報が55%を占めるため、「本音では褒めていない」と感じる可能性が高くなります。
この場合、言語情報の7%に比べて、圧倒的にネガティブな印象が先行します。
メラビアンの実験は、「感情や気持ちを伝えるコミュニケーションで矛盾した情報発信がされた場合、聞き手はどの情報を優先させるのか」を検証したもので、全てのコミュニケーションに当てはまるわけではありません。あくまでも「感情を伝えるコミュニケーションにおいて」という限定的な状況で得られた結果です。メラビアンの法則は、「人は見た目が9割」といった形で誤解されることが多いです。しかし、これは「言語コミュニケーションよりも非言語コミュニケーションのほうが重要」「話の内容よりも見た目や第一印象のほうが大事」という拡大解釈に過ぎません。
メラビアンの法則を活用するための話し方のポイントを以下に示します。
視覚情報、聴覚情報、言語情報に矛盾があると、話の内容が正しく伝わりません。例えば、謝罪するときに「すみません」と言いながら憮然とした表情では、聞き手の印象は悪くなります。
話す内容を正確に伝えるためには、できるだけ表情豊かに話すことが必要です。特に笑顔は相手にポジティブな印象を与えやすく、相手を肯定するシーンでも効果的です。
声の高さや抑揚に気を付けることで、言語情報以上の内容が伝わります。ボソボソと聞き取りにくかったり、早口で話したりすると、話の内容が伝わりにくくなります。
会話における非言語コミュニケーションの役割は大きいため、ボディランゲージをうまく活用することがポイントです。視線や表情、ジェスチャーを会話に取り入れることで、言葉だけでは表現しにくい考えや感情が伝わりやすくなります。
メラビアンの法則では言語情報が占める割合は7%と少ないものの、会話は言葉で成り立っているため、正しく内容が伝わる言葉選びは大切です。難しい言葉を使う必要はなく、伝わりやすい言葉を意識して選びましょう。
ビジネスシーンでメラビアンの法則を活用する方法を以下に示します。
上司と部下のコミュニケーションにおいては、部下のほうが上司の態度や言葉に敏感になりやすいものです。日頃から選ぶ言葉や声のトーン、表情、態度など全体を意識して話すよう心がけましょう。
クライアントや社内向けのプレゼンでは、身振り手振りや表情、声のトーンなどをうまく活用して、相手の関心を引くことができます。話の内容に合わせてボディランゲージを変化させることで、聞き手とのコミュニケーションがよりスムーズになります。
取引先との商談では、メラビアンの法則をファーストコンタクトやクロージングに役立てることができます。対面でのコミュニケーションでは、相手の言葉や声のトーン、表情などから情報を得やすく、真意を汲み取りやすいです。
電話は、相手の表情やしぐさなどの視覚情報が得られないため、対面以上に選ぶ言葉や声のトーンなどに注意する必要があります。ボディランゲージが使えないため、対面と比べ少々大きめに抑揚をつけることを意識しましょう。
メールは言語情報のみを使って情報を伝達するため、感情を伝えにくいツールです。事務的な連絡やスケジュールの確認など、一般的に感情を伴わない情報を伝えることに向いています。内容がうまく伝わったか不安な場合は、メールを送信した後に対面や電話でフォローすると安心です。
採用面接では非言語情報にあまり捉われすぎず、話の内容に注目することが大切です。面接のノウハウを学んでくる応募者も多いため、ノウハウに則った非言語情報に左右されないように注意しましょう。
メラビアンの法則を正しく理解し、ビジネスシーンで活用することで、円滑なコミュニケーションを図ることができます。視覚・聴覚・言語の3つの要素を一致させることを意識し、効果的なコミュニケーションを実現しましょう。